第82回 高血圧の薬は一生飲み続けなければならないのか??

こんにちは、バナナ先生です。今日は、リスナーの皆さんからよくいただく質問、「高血圧の薬は一生飲み続けなければならないのか?」というテーマについて、詳しくお話ししたいと思います。高血圧は「沈黙の殺人者」とも呼ばれ、放置すると非常に危険です。実際、高血圧を適切に管理することで、日本人の平均寿命が10年も延びると言われています。

まず、高血圧の診断基準についておさらいしましょう。最近、血圧の基準が変わり、140/90が診断基準となりました。さらに、起床後1時間以内に130/85を超えている場合、何らかの対策が必要とされています。高血圧は、自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行し、心臓病や脳卒中、腎臓病などの重大な病気を引き起こします。だからこそ、早期の発見と対策が重要です。

さて、本題の「高血圧の薬は一生飲み続けなければならないのか?」という質問に移りましょう。この質問に答えるために、まずは高血圧治療の基本についてお話しします。高血圧の治療には、生活習慣の改善と薬物療法の二つの柱があります。生活習慣の改善には、減塩、適度な運動、適正体重の維持、バランスの取れた食事、禁煙、ストレス管理などが含まれます。これらの改善策は、高血圧の予防と治療において非常に重要です。

一方で、薬物療法は血圧を下げ、心血管系のリスクを減らすために必要です。最近の研究では、血管の老化や動脈硬化の進行を遅らせるためには、血圧を下げるだけでなく、血管壁の改善や心肥大の予防も重要であることがわかってきました。この点で、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)という血圧の薬が注目されています。

ARB製剤は、血圧を下げるだけでなく、血管壁を改善し、動脈硬化の進行を遅らせる効果があります。特に、血圧に影響を与えないごく少量のARB製剤でも、動脈硬化が改善できるという研究結果が出ています。これにより、血圧や動脈硬化が心配な人は、軽症のうちに早めにARB製剤を服用することで、一生薬を飲み続ける必要がなくなる可能性が高いのです。

さらに、食事にも注意を払いましょう。赤ワイン、オリーブ油、ビタミンEなど、抗酸化作用のある食品は動脈硬化を予防する効果があります。血液をサラサラにする漢方薬も有効です。これらの食品や漢方薬を取り入れることで、さらに効果的に高血圧を管理することができます。

日本には多くのエビデンスがあり、高血圧の治療において、生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせることで、多くの人が2~3年で血圧の薬が不要になるという報告があります。例えば、減塩食を続け、適度な運動を習慣化し、適正体重を維持することで、血圧を正常範囲に保つことができる人が増えています。また、ARB製剤と漢方薬を併用することで、さらに効果的に血圧をコントロールできるケースも多く見られます。

では、具体的なエビデンスをいくつかご紹介しましょう。

まず、日本高血圧学会が行った研究では、ARB製剤を服用することで、血圧が正常範囲に収まり、動脈硬化の進行が遅くなることが確認されています。また、ARB製剤のごく少量での効果が確認されており、血圧が軽度のうちに服用を開始することで、将来的に薬を飲み続ける必要がなくなる可能性が高いとされています。

さらに、食事の改善に関するエビデンスも豊富です。例えば、減塩食の実践によって、血圧が大幅に低下し、薬の服用が不要になるケースが多く報告されています。日本食はもともと塩分が高い傾向がありますが、減塩醤油や塩分控えめの食品を積極的に取り入れることで、血圧管理が容易になります。また、赤ワインに含まれるポリフェノールやオリーブ油のオレイン酸、ビタミンEの抗酸化作用が、動脈硬化の予防に寄与することが科学的に証明されています。

漢方薬に関しても、血液をサラサラにする効果が認められており、高血圧の治療において有効です。例えば、八味地黄丸(はちみじおうがん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などの漢方薬が、血液循環を改善し、血圧を正常範囲に保つ効果があります。これらの漢方薬を適切に使用することで、薬の服用を減らすことができるのです。

以上のように、高血圧の薬を一生飲み続けなければならないというわけではありません。適切な生活習慣の改善と薬物療法の併用により、多くの人が薬の服用を減らすことができる可能性があります。特に、ARB製剤や漢方薬を早期に取り入れることで、動脈硬化の進行を遅らせ、血圧を正常範囲に保つことができます。

皆さんも、高血圧の予防と治療において、早めの対応を心がけましょう。自分の健康を守るために、定期的な血圧測定や適切な食事、運動を習慣化し、必要に応じて医師に相談してください。早期の対応が、将来的な健康維持につながります。

それでは、今日はここまで。次回も健康に関する有益な情報をお届けしますので、お楽しみに。それでは、またお会いしましょう!

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